技能実習から特定技能への移行や、技能実習2号・3号への移行について解説
- 2021.04.07

外国人の技能実習生は、技能実習2号・3号への移行はもちろん、特定技能へ移行することも可能です。移行を考えている場合は、早めに条件の確認や必要書類集めを始めると、スムーズに手続きが進みます。そこで今回は、技能実習から特定技能への移行条件と必要書類、技能実習2・3号への移行条件について、それぞれわかりやすく解説します。
技能実習から特定技能へ移行ができる
技能実習とは、協定を結んでいる国から受け入れた実習生が、日本の高い技術を企業における実習を通じて身につけ、帰国後は母国の技術発展にその経験と技術を活かすといった目的で実施されます。
特定技能は2019年に新設された在留資格で、人手不足の業界で活躍できる、専門的な技術やノウハウを持っている外国人材に対して付与されます。
技能実習を終えた後、特定技能に移行することが可能ですが、移行の条件として移行可能な職種や要件が決められているため、事前に確認する必要があります。
移行の条件
外国人が技能実習を終え、特定技能へ移行する際に、移行可能な職種と必要要件をわかりやすく解説します。
移行できる職種
特定技能に移行可能な職種は、以下の14種類です。
- 漁業
- 農業
- 外食業
- 飲食料品製造業
- 素形材産業
- 電気・電子情報関連産業
- 産業機械製造業
- 建設業
- ビルクリーニング
- 自動車整備業
- 航空業
- 造船泊用工業
- 介護
- 宿泊業
上記の14種類以外の職種への移行はできないため、注意しましょう。
移行に必要な要件
技能実習から特定技能へ移行するにあたり、以下の8つの要件をクリアする必要があります。
- 技能実習の報酬と同程度か、それ以上の報酬を得ること
- 技能実習と同様の事業者で就労するための、「特定技能1号」への移行であること
- 技能実習と同様の事業者で、技能実習として従事した業務と同じ種類の業務に従事する雇用契約が締結されていること
- 「技能実習2号」として1年10ヶ月以上在留しており、かつ修得した技能の職種と作業が「特定技能1号」で従事する特定産業分野の業務区分における、技能区分の技能試験と日本語能力試験の免除の要件が満たされていること
- 登録支援機関となる予定の機関の登録が終わっていないなど、「特定技能1号」への移行に時間を要する理由があること
- 受入れ先が、労働・社会保険および租税に関する法令を遵守していること
- 受入れ先または支援委託予定先が、外国人が十分に理解できる言語で支援を行えること
- 受入れ先が、特定技能所属機関における暴力団関係、前科、不正行為などの事由に該当しないこと
移行に必要な書類
技能実習から特定技能への移行に必要な書類を2つ紹介します。
これらを揃えて出入国在留管理庁に提出し、手続きをしましょう。
移行の申請準備は、3〜4か月前から始める必要があります。移行の申請期限は、技能実習としての在留期限までとなっており、それまでに申請ができない場合、母国に一時帰国しなければならないため、注意が必要です。
移行の準備の流れは、受け入れ先の企業や登録支援機関ごとに異なりますが、資料集めや特定技能の雇用要件を満たすための社内制度の見直しなど、多くのステップがあるため、早めに取りかかるようにしましょう。
在留資格変更許可申請書
在留資格変更許可申請書は、法務省の公式サイトからダウンロードできます。
申請書は全部で4枚、記入項目は50個あるので、1枚ずつ丁寧に記入しましょう。
1枚目には、証明写真を貼る必要があります。証明写真は、駅前など街中に設置してあるスピード証明写真機や、写真館などで撮影可能です。撮影の際は、以下の7点のポイントをおさえましょう。
- サイズ:40mm×30mm
- 正面を向き、髪などが顔にかかっていないもの
- 帽子をかぶっていないもの
- 本人のみが写っているもの
- 背景は無地のもの
- 提出日から3か月前に撮影されたもの
- 鮮明に写っているもの
氏名を記入する際、名字(Family name)名前(First name)の順で、アルファベットで記入しましょう。なお、中国や台湾、韓国などの漢字圏の方で、在留カード上の氏名の漢字表記を希望する場合は、アルファベットと漢字の両方を記入します。
受入れ機関の誓約書
受け入れ機関の誓約書も、法務省の公式サイトからWordファイルをダウンロードし、記入しましょう。
誓約書と合わせて準備するのが、以下の4種類の書類です。
- 「特定技能1号」へ変更するまでの雇用契約に関する書類:雇用条件などのコピーや雇用契約書など
- 申請人の賃金台帳過去1年分のコピー
- 「技能実習2号」として1年10ヶ月以上在留し、かつ修得した技能の職種と作業が「特定技能1号」で従事する特定産業分野の業務区分における技能区分の技能試験と、日本語能力試験の免除の要件が満たされていることを証明する資料(例:技能検定3級の合格証、技能実習計画書のコピーなど)
- 受入れ先が作成した理由書:移行申請までに時間がかかる理由を記載(例:登録支援機関となる予定の機関の登録が完了していないため)
技能実習2・3号への移行について
技能実習1号から2号、2号から3号への移行も、自動的にできるわけではなく、毎年在留期間の更新手続きをする必要があります。
ここでは、1号から2号、2号から3号への移行条件について、それぞれ詳しく解説します。
1号から2号への移行条件
技能実習1号から2号へ移行するには、以下の4つの条件を満たす必要があります。
- 技能実習1号と同様の実習実施機関で、同様の技術等の実習ができること
- 技能実習計画に基づき、さらなる実践的な技能等の修得を目指す内容であること
- 技能検定基礎級または技能評価試験初級に当たる、所定の技能評価試験の学科試験および実技試験に合格した者であること
- 移行対象職種は、省令で定められた職種や作業であること(2020年11月2日時点:82種150作業)
3点目の技能評価試験は、基本的に日本への入国8か月目を目処に受検します。入国後6か月が経った頃から、試験の申し込みと準備を始めましょう。ようやく実習に慣れたという時期になってしまいますが、技能実習2号への移行を希望する場合は、特に念入りに準備を進めるようにしましょう。
2号から3号への移行条件
技能実習2号から3号へ移行するには、以下の5つの条件を満たす必要があります。
- 過去に技能実習3号を利用したことがないこと
- 3年間の実習を終了し2号を修了したのち、1ヶ月〜1年未満の一時帰国をすること
- 主務省令で定められた優良基準を満たしていると認められた、監理団体および実習実施者であること
- 技能評価試験の技能検定3級において、実技試験に合格した者であること
- 移行対象職種は省令で定められた3号移行可能な職種、作業であること(2020年11月2日時点:74職種132作業)
技能評価試験の技能検定3級は、全ての技能実習生が帰国前に受検します。受検するのは、在留期限満了の2〜3か月前となり、科目は実技のみでも問題ありません。技能3号に移行したい場合は、本試験の合格が必須となるため、よく準備してから臨みましょう。
まとめ
外国人の技能実習から特定技能への移行と、技能実習2号と3号への移行について、それぞれの移行条件や必要書類などを解説しました。
いずれも数ヶ月前など、早い段階から必要書類や試験の準備が必要になるため、在留期限の満了日から逆算し計画的に準備を進めるのがコツです。
移行を考えている場合は、今回紹介した内容をふまえ、スムーズな移行申請手続きを行いましょう。