日本の医療保険・健康保険制度を解説。外国人の加入や医療費について

在留外国人も日本に長期滞在するとなると、日本の医療保険を利用する可能性があります。ただし「在留外国人は日本の医療保険への加入が義務なのか」「加入していないと何か罰則などはあるのだろうか」といったポイントで悩むケースも多いでしょう。本記事では、日本の医療保険制度の基本情報をふまえ、在留外国人の医療保険への加入要件や加入方法・医療費について、徹底解説していきます。

日本の医療保険(健康保険)とは

 

日本の医療保険の制度の仕組みと保険の種類について、わかりやすく説明します。

 

医療保険(健康保険)の制度

日本では、全ての国民が何らかの医療保険に加入することを義務付けられています。

 

医療保険は、病気になったり怪我をしたりしたときのために、あらかじめ加入者が保険料を出し合い、実際に医療機関を受診した際の医療費の支払いに充てるといった仕組みが特徴です。

 

医療機関を受診しても、自身が支払うのは医療費の1〜3割のみで、残りは医療保険から支払われます。

 

医療保険(健康保険)の種類

医療保険には『被用者保険』『国民健康保険』『後期高齢者医療保険』の3種類があります。

 

被用者保険は会社員が加入する医療保険であり、民間企業の会社員は『全国健康保険協会』『健康保険組合』に加入し、公務員は『共済組合』などに加入するのが一般的です。健康保険組合には、700人以上の従業員を抱える企業が国の認可を持って設立する『単一健保組合』と、同業種で3,000人以上の従業員が集まることで設立できる『総合健保組合』があります。

 

国民健康保険は自営業者が対象となっており、後期高齢者医療保険は、65歳〜74歳で一定の障害を持つ人と75歳以上の人が加入できます。

 

外国人も健康保険に加入する必要がある?

 

日本に滞在する外国人の、医療保険に対する加入の要否について紹介します。

 

在留期間3ヶ月以上になると加入は必須

外国人の日本における在留期間が3か月以上の場合は、日本の医療保険への加入が必須となります。日本で会社に勤めている場合は会社の健康保険に、自営業を営んでいる場合は国民健康保険に加入するのが一般的です。

 

ただし、国民健康保険への加入に関しては、一部例外もあるため注意しましょう。国民健康保険への加入の必要がない在留外国人の条件を紹介します。

 

  • 在留資格が『外交』または『短期滞在』
  • 『特定活動』の在留資格を持つ、医療を受ける活動をする人とその介助者、または観光などの目的で90日以上滞在する人とその配偶者
  • 在留期間が3か月以下の人
  • 会社の健康保険に加入している人とその扶養者
  • 75歳以上の人
  • 不法滞在をしている人
  • 生活保護を受けている人

 

医療保険への加入によって得られるメリットとしては、医療機関を受診した際の医療費が3割負担で済むことはもちろん、被扶養家族も給付対象になることが挙げられます。日本で住民登録をしており、在留期間が1年以上であれば、被扶養家族も医療保険に加入できます。

 

会社の健康保険に加入すると、保険料が会社と折半になる点も大きなメリットです。日本人・外国人に限らず、少ない保険料の負担で手厚い保障が受けられます。


 

加入してないとどうなるのか

医療保険への加入対象者である在留外国人が加入していなくても、特に罰則などはありません。

 

ただし、就労ビザで日本に滞在する外国人は、ビザ更新の際に健康保険証を提示する必要があります。医療保険に加入をしていないとビザの更新ができず、外国人は在留期間の満了と同時に帰国しなければいけません。

 

そのほかにも、医療保険に加入しないことでさまざまなデメリットが生じます。

 

例えば、のちになって医療保険に加入する場合、保険料の支払いは加入日からではなく、住民登録をした日に遡って発生するため、注意が必要です。また、万が一医療機関を受診することになっても、医療保険に加入していないため医療費が全額負担になります。なかには医療保険に加入していない患者の治療を断る医療機関もあります。

 

このようなデメリットもふまえると、いざというときのために医療保険に加入しておくことが得策といえるでしょう。

 

加入方法と支払い

 

在留外国人が医療保険に加入する際の条件と、手続きの方法について解説します。

 

加入できる条件

国民健康保険に加入できる条件は、主に以下の4つが挙げられます。

 

  1. 日本に3か月以上滞在する人
  2. 仮滞在の許可がある人
  3. 特別永住者
  4. 日本国籍の喪失から日本に在留する人

 

ただし、住民票が作成されていない外国人も、3か月以上の在留が認められており、次のいずれかの在留資格を持っている場合は、証明書類の提出をもって国民健康保険に加入できる可能性があります。

 

  • 技能実習
  • 興行
  • 特定活動(医療や観光目的は除く)
  • 家族滞在
  • 公用

 

加入の手続き

国民健康保険へ加入する際は、住民票を登録する自治体への転入から14日以内に、役所の国民健康保険課で手続きをします。14日以内に加入手続きをしなかった場合、保険料を転入日や入国日に遡って支払う必要があるため、注意が必要です。手続きができるのは『世帯主』『世帯主と同じ住所に住む世帯の人』『代理人』で、代理人が申請する場合は委任状を持参しましょう。

 

会社の健康保険に加入する際は、日本人と同様に、会社が日本年金機構に必要書類を提出し手続きを行うため、外国人本人による手続きは必要ありません。

 

外国人が国民健康保険に加入する際に必要な書類は、以下の3点です。

  1. 在留カードまたは特別永住者証明書
  2. 各種ビザや学生証
  3. マイナンバーカードまたは通知カード

 

会社を退職して国民健康保険に加入する場合は、下記の4点のうち1点の提出が必要です。

  1. 離職票
  2. 源泉徴収票
  3. 社会保険資格喪失証明書
  4. 退職証明書

 

国民健康保険に加入済みの外国人に子どもが生まれ、加入手続きをしたい場合は、以下の3点を準備しましょう。

  1. 国民健康保険証
  2. 在留カードまたは特別永住者証明書
  3. 母子健康手帳

 

外国人が会社の健康保険に加入する場合は、日本人と同様に以下の4点を提出します。

  1. 健康保険・厚生年金保険新規適用届
  2. 被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)
  3. 被扶養者資格取得届
  4. 保険料口座振替納付(変更)申出書

 

外国人は、日本で医療保険に加入する前に、母国の医療保険への加入状況を確認しましょう。母国でも医療保険に加入している場合、二重払いになる可能性があるためです。日本と母国が『社会保障協定』を結んでいる場合は、日本が母国の一方の医療保険に加入していれば問題ありません。もし母国でも医療保険に入っていた場合は、日本と『社会保障協定』を結んでいるかどうかを事前に確認しましょう。

 

まとめ

 

外国人が日本に3か月以上滞在する場合は、医療保険への加入が義務付けられます。日本で会社に勤める場合は会社の健康保険に、自営業を含めそれ以外の外国人は国民健康保険に加入しましょう。加入をしなくても罰則はありませんが、万が一医療機関を受診した際に医療費が高額になる可能性があるなど、デメリットもふまえた上でよく検討しましょう。