【日本での妊娠~出産まで】費用はいくらかかる?

日本で暮らす外国人にとって、外国での妊娠・出産に大きな不安を感じる方も多いでしょう。特に妊娠・出産にかかる費用は、国によって差があります。日本での正常な妊娠・出産は、病気や怪我と同じようには扱われません。そのため、妊娠・出産でかかる病院費用は健康保険の対象外となり、自己負担になります。ですから、日本で妊娠・出産をする場合は行政や職場からの助成金などを上手に利用して、自己負担を減らす工夫が必要です。この記事では、日本での妊娠から出産までにかかる費用を解説します。

ー目次ー

【医療機関でかかる費用】
  初回診察料(初診料
  妊婦健診
  出産入院費用
【医療機関以外でかかる費用】
  マタニティ用品
  ベビー用品
  産後用品
  出産する病院に向かうまでの交通費
【人により必要になる費用】
  里帰り出産の交通費・生活費
妊娠・出産で健康保険が対象になるケースがある
 【妊娠中】
 【出産・入院中】
まとめ

 

【医療機関でかかる費用】

分類

平均価格

メモ

初回診察料(初診料)

5,000~15,000円

 

妊婦健診

10万円~15万円(5,000円~15,000円×検診14回分)

※妊婦健診助成券を活用すると、平均10万円の助成がもらえる

出産入院費用

50万前後

※出産一時金を活用すると50万円の助成がもらえる

 

初回診察料(初診料)

妊娠検査薬で「陽性」の反応が出たら、病院(産科または産婦人科)を受診する必要があります。一般的な初診料(=初めて診察を受けるときに掛かる費用)は、5,000~15,000円程度です。病院の大きさや設備によって金額に差が出ます。初回は特に費用がかかりますので、多めにお金を持って行くと安心です。

 

※妊娠検査薬(にんしんけんさやく)・・・妊娠しているかどうかを調べるための道具。ドラッグストアやインターネットで買うことができる。

 

妊婦健診

妊婦健診とは、妊婦とお腹の赤ちゃんの健康状態を定期的に診察することです。病院で妊娠が確定した後は、定期的に健診を受けることになります。日本での標準的な妊婦健診の回数は、14回です。(病院によっては回数が異なる場合もあります)

 

妊婦健診では、診察、問診、尿検査、体重測定、血圧測定、むくみ検査など、さまざまな検査がおこなわれます。必要に応じて、血液検査や超音波検査、子宮がん検診やクラミジア検査などをおこなう場合もあり、検査の内容は妊娠の週数によって異なります。妊娠初期から後期にかけて、だいたいのスケジュールが決まっています。

 

妊婦健診は、健康保険の対象外です。1回の妊婦健診にかかる費用は、5,000円~15,000円ほどで、血液検査などがある場合は高くなります。妊婦健診は平均14回で、合計15万円ほどの費用が必要です。この費用は自治体からの補助「妊婦健診助成券」を使うことで個人負担額を大きく減らせます。補助金については他の記事で詳しく紹介しているので、こちらを確認してください。

妊娠や出産について自治体からもらえる金については次の記事で紹介しています。

(タイトル+リンク挿入)自治体や職場からもらえる出産・育児のお金

 

出産入院費用

出産入院費とは、出産のときにかかる出産費と産後の入院にかかる費用のことです。出産入院費は、利用する病院の規模や設備、サービスによって大きく異なります。

 

自然分娩(しぜんぶんべん)での平均出産費用は、だいたい50万前後かかります。土日祝日、深夜・早朝の出産は、診療時間外のため追加費用がかかる場合が多いです。出産時に、吸引による出産や陣痛促進剤の使用、輸血などの医療行為をおこなった場合も費用が追加されます。自治体からの補助の「出産一時金」を使うことで50万円の補助金がもらえます。

 

妊娠や出産について自治体からもらえる金については次の記事で紹介しています。

自治体や職場からもらえる出産・育児のお金

 

また、出産の痛みを和らげる「無痛分娩(むつうぶんべん)」や「和痛分娩(わつうぶんべん)」は、麻酔の使用などの医療行為が必要になるため、費用が高くなります。金額は病院によって異なりますが、追加で10~20万円くらいかかります。

 

手術で赤ちゃんを出産する帝王切開(ていおうせっかい)の場合は、医療処置になるため健康保険の対象になります。

 

 

産後の入院期間は、出産した日を合わせて5日間が一般的です。入院費用には、基本の入院料、食事費用、新生児入院費用、検査費用などが含まれています。また病院によっては、専用の入院セットが費用に含まれている場合もあります。病院によって内容や費用が違います。入院前に確認しましょう。

 

※入院セット・・・入院生活で使うコップやスリッパなどのアメニティセット、産後に必要になる産褥ショーツやナプキンなど最低限必要なものをまとめたものです。

 

※産褥(さんじょく)・・・妊娠や分娩によって起こったお母さんの体の変化が、妊娠前の状態に戻るまでの期間のこと。

※新生児(しんせいじ)・・・生まれたばかりの赤ちゃんのこと。誕生日を0日として28日未満、そのあとは乳児と呼ばれます。

 

【医療機関以外でかかる費用】

分類

メモ

マタニティ用品

妊娠線ケアクリーム、抱き枕、妊婦帯(腹帯・マタニティガードル)、マタニティウェア、マタニティブラ、マタニティショーツ、栄養サプリメント など

一般的に10万~15万円と言われている

ベビー用品

おむつ、肌着、衣服、ガーゼ、寝具セット、哺乳瓶、ベビーソープ、抱っこひも、ベビー用爪切り、おむつ専用ゴミ箱、ベビーベッド、ベビーバス、ベビーカー、チャイルドシート、ベビーサークル、粉ミルク など

 

産後用品

授乳ケープ、授乳用のブラジャー、授乳服、授乳クッション、授乳パッド、産後用骨盤ベルト・ガードル など

 

入院中に必要なもの

授乳ブラジャー、産褥ショーツ、産褥パッド、多い日の夜用ナプキン、母乳パッド、日用品 など

病院によっては、入院費に「入院セット」が含まれている場合あり

 

マタニティ用品やベビー用品の参考価格は、以下のサイトで紹介されています。

Moony:https://jp.moony.com/ja/tips/pregnancy/birth/preparation-article/pt0033.html

 

 

マタニティ用品

妊娠中のお母さんが使う、栄養サプリメント、妊娠線ケアクリーム、抱き枕、妊婦帯(腹帯・マタニティガードル)、マタニティ下着やウェアなどを、マタニティ用品と言います。便利なアイテムがたくさんありますが、全てを用意する必要はありません。例えばマタニティウェアは短い期間しか利用しませんし、普通の服でもマタニティウェアのかわりになる場合があります。ストレッチ素材のあるトップスやワンピースなど普通の服を上手に取り入れるといいでしょう。産後の授乳期には、手軽に前開きができるシャツやワンピースが便利です。いろいろ工夫してみましょう。

 

※妊娠線(にんしんせん)・・・妊娠してお腹が大きくなってくるとできる線のこと。ストレッチマーク。

※授乳(じゅにゅう)・・・赤ちゃんに母乳やミルクを飲ませること。

 

ベビー用品

赤ちゃんが使うおむつや肌着、衣服、ガーゼ、寝具、哺乳瓶(ほにゅうびん)、ベビーソープ、抱っこひも、おむつ専用ゴミ箱など。退院後に最低限必要になるものは、妊娠中に準備をしておきましょう。出産前にすべてのものをそろえる必要はありません。育児をしながら、必要だなと感じたものを購入することでムダな出費が抑えられます。

ベビーベッド、ベビーバス、ベビーカー、チャイルドシート、ベビーサークルなど、短期間しか使用しないものや、必要かどうかわからないものは、リサイクルショップやレンタルサービスの利用がおすすめです。

 

産後用品

産後用品は、出産後にお母さんが使用するものです。産後用品には、授乳用の下着、授乳服、授乳クッション、授乳パット、産後用骨盤ベルト・ガードルなどがあります。

 

出産する病院に向かうまでの交通費

自家用車がない方は、陣痛がきてから病院に向かうまでの交通費がかかります。その時におすすめなのが、マタニティタクシーです。マタニティタクシーは陣痛が起こったときに、病院に送迎をしてくれる頼もしいタクシーです。利用するときは事前に登録が必要になります。登録時に出産する病院を申請するので、陣痛で苦しいときに道案内をする必要がなく、24時間対応してくれます。タクシー会社によっては、安全に送迎できないことなどを理由に、陣痛時のお客様を乗車拒否するところもあります。マタニティタクシーを事前に登録しておくと、いざという時にとても安心です。

 

1年間のうちに支払った医療費の合計が10万円を超える場合は、確定申告で医療費控除の申請をすると翌年に収める税金が安くできる場合があります。医療費控除は病院で支払ったお金の他にも、病院に向かう交通費も申告できます。


 

【人によっては必要になる費用】

里帰り出産の交通費・生活費

自分の国へ帰国して出産したり、自分や配偶者の実家に帰って出産をすることを、「里帰り出産」と言います。里帰り出産をする場合は、その土地へ移動するための交通費と生活費が必要です。長距離の移動などで母体に負担がかからないように、妊娠9ヶ月までに実家に戻り、出産を迎えるのが一般的です。産後は実家で身体を休め、出産した病院で赤ちゃんの1か月検診を受けてから自宅に戻るケースが多いです。里帰り出産をするためには、出産をする病院への早めの予約が必要になります。

 

妊娠・出産で健康保険が対象になるケースがある

日本での妊娠・出産は、病気扱いではないため基本的には健康保険の対象外です。しかし、何らかのトラブルが発生し、医療処置が必要になった場合は、健康保険の対象になる場合があります。

 

妊娠中

保険適応のケース

症状

重度のつわり

激しい吐き気、おう吐、体重減少、食欲減少、脱水、不安、うつ病、睡眠障害など

※「つわり」のことを「悪阻(おそ)」とも言います

流産(りゅうざん)

妊娠したにもかかわらず、早い時期(妊娠22週未満)に赤ちゃんが亡くなってしまうこと

切迫流産(せっぱくりゅうざん)

妊娠は継続しているが、流産のリスクが通常より高い状態のこと

妊娠高血圧症候群

妊娠時にみられる高血圧を主とする病気や不調を発症した状態

前期破水(ぜんきはすい)

陣痛が始まる前(妊娠37週未満)に赤ちゃんを包んでいる卵膜が破れて、羊水がもれてしまうこと

 

出産・入院中

保険適応のケース

症状

陣痛促進剤を使用

陣痛を促すため薬剤を使用すること

帝王切開(ていおうせっかい)

子宮を切開して、赤ちゃんを取り出す手術方法

吸引分娩(きゅういん ぶんべん)、鉗子分娩(かんし ぶんべん)

赤ちゃんが子宮の出口まで降りてきているのに、なかなか出てこない場合に行う医療処置

新生児集中治療室に入る場合

低出生体重児(=生まれた時に体重が少ない赤ちゃん)など、生まれてきたときにトラブルがあった赤ちゃんへの医療処置

死産(しざん)

赤ちゃんが妊娠12週以降に亡くなったまま産まれること

 

まとめ

ここまで、日本での妊娠・出産にかかる費用を詳しく説明しました。
日本で妊娠し、無事に出産するには、多くの費用が必要です。ベビーベッドやベビーカーなどの利用期間が短い大きなベビー用品は、レンタルやリサイクルショップを上手に活用することで費用が抑えられます。また、行政や職場から助成金や祝い金など、妊娠・出産のためにもらえるお金もあります。いざという時に困らないように、どのような場合に助成金がもらえるのかを、事前に確認しておくと安心です。