自治体や職場からもらえる出産・育児のお金

日本で妊娠・出産をして、子どもを育てるには、多くの費用がかかります。しかし、行政や職場など、申請をおこなうことでもらえるお金(=助成金)もたくさんあります。ただ、助成金の申請窓口や申請方法はとても複雑で、日本人でも難しく感じている方が多いです。この記事では、日本での妊娠・出産、育児でもらえるお金について詳しく解説します。この記事で紹介する制度は、日本に住民登録をしている外国人が対象となります。短期滞在(=日本の滞在が1年未満)の方は制度の対象とならないので注意してください。なお、この記事に書かれている情報は掲載した時のものです。詳細については、お住まいの地域の市区町村役場にお問い合わせください。

ー目次ー

自治体や職場からもらえる出産・育児にかかわる助成やお金

誰でももらえるお金

  妊婦健診診査受診表(にんぷ けんしん しんさ じゅしんひょう)

  出産育児一時金制度(しゅっさん いくじ いちじきん せいど)

  こどもの医療費助成

  児童手当(=こども手当)

  医療費控除(いりょうひ こうじょ)

会社で働いている人がもらえるお金

  傷病手当(しょうびょう てあて)

  出産手当金

  育児休業給付金(いくじきゅうぎょう きゅうふきん)

  失業給付金(しつぎょう きゅうふきん)

こんな制度も注目!

  産後ヘルパー

  高額医療費制度

  未熟児養育医療制度(みじゅくじ よういく いりょうせいど)

  児童扶養手当(じどう ふよう てあて)

自治体や会社からお祝いのお金がもらえることも!

まとめ

 

自治体や職場からもらえる出産・育児にかかわる助成やお金

妊娠から出産や子育てには、多くのお金が必要です。子どもにかかる費用に不安を感じている方のために、行政や職場などからお金がもらえる制度があります。制度の種類によって申請窓口や手続きが異なります。申請期限があったり、入金まで日にちがかかる制度もあるので注意が必要です。助成金を申請する場合は、事前にスケジュールを立てておくと安心です。

 

誰でももらえるお金

妊婦健診診査受診表(にんぷ けんしん しんさ じゅしんひょう)

妊婦検診とは、妊婦やお腹の赤ちゃんを病院で定期的に確認する健康診断のことです。その費用を割引する券のことを妊婦健診診査受診表と呼びます。病院で妊婦検診の支払いをする時に補助券を使うと、割引して精算できます。自治体が発行していて、妊娠の届け出をしたときに母子手帳と一緒にもらえます。

一般的に14回分の妊婦健診診査受診表がもらえます。その他にも「妊婦子宮がん検診受診表」や「妊婦超音波検査受診表」などの補助券を渡している自治体も多いです。各自治体によって、助成金額や内容が異なりますので、妊娠の届け出の際に確認しましょう。

妊婦健診診査受診表が渡される前の受診費用は、全額自己負担になります。

また、妊婦やお腹の中の赤ちゃんの状態によっては、妊婦健診診査受診表で割引にならない診察や検査をおこなう場合があります。その場合は、費用が自己負担になりますので、健診に行く時は少し多めにお金を持って行くと安心です。


 

いつ?

母子手帳を申請するとき(妊娠12週以降)

どこで?

自治体で申請

いくら?

約10万円 ※自治体により異なる

 

出産育児一時金制度(しゅっさん いくじ いちじきん せいど)

健康保険や国民健康保険に加入している方や配偶者が、出産費用として貰えるお金です。

 

<直接支払制度(ちょくせつしはらいせいど)を使う場合>

出産育児一時金が、病院に直接支払われる制度を【直接支払制度】と言います。事前に申請をおこなうことで、退院する時に支払う出産費用を42万円少なくすることができます。

 

<直接支払制度を使わない場合>

直接支払制度を使うことができない病院もあります。直接支払制度を使わない場合は、出産後の退院時に病院窓口で出産費用を全額支払って、後日、自治体の国民健康保険窓口や健康保険組合に出産育児一時金の申請をします。申請後1~2ヶ月後に42万円がもらえます。

 

いつ?

出産する前に、病院から説明を受けたとき

どこで?

直接支払制度を

 使う場合:病院で申請

 使わない場合:国民健康保険または健康保険組合の窓口で申請

いくら?

42万円

 

こどもの医療費助成

赤ちゃんやこどもが病気やケガで病院を受診したときに支払う医療費の一部、または全額を自治体が支援してくれる制度です。こどもの対象年齢や金額は、各自治体によって異なります。3歳までを対象とする自治体や、中学生までを対象とする自治体もあります。医療費を全額支援する自治体や、一部を支援する自治体などさまざまです。詳しい情報はお住まいの自治体に確認してください。

 

いつ?

病院を受診した後

どこで?

自治体に申請

いくら?

自治体により異なる

 

児童手当(=こども手当)

0歳から中学校卒業までのこどもを育てている人に配られるお金です。こどもの成長をサポートする目的として支給されます。

児童手当制度のご案内: 子ども・子育て本部 - 内閣府 (cao.go.jp)

 

いつ?

出産して、自治体に出生届を申請するときに申請

または引越しで他の市区町村から転入したときに申請

どこで?

自治体に申請

いくら?

子ども一人につき一か月に1万円~1万5千円

※子どもの年齢や親の収入により異なります。銀行にお金が振り込まれる月は、6月、10月、2月です。それぞれの前月分までの金額が振り込まれる。
例)6月の支給日には、2~5月分の金額が振り込まれる。

 

医療費控除(いりょうひ こうじょ)

納める税金を減らすことができる制度のひとつです。1年間でかかった医療費が一定の金額を超えた場合、確定申告をすることで利用できます。対象となる医療費は、定期健診や検査費、通院費、入院中の食事代などです。なお、外食や出前などの食事代は対象になりません。病院でかかった費用の領収書は必ず保管しておきましょう。

※里帰り出産のための交通費は、対象になりません。

医療費控除を受ける方へ:令和3年分 確定申告特集 (nta.go.jp)

【確定申告書等作成コーナー】-出産費用 (nta.go.jp)

 

いつ?

確定申告の時期(毎年2月中旬~3月中旬)

どこで?

税務署

いくら?

申請する人の収入により異なる

 

会社で働いている人がもらえるお金

ここからは勤務先の全国健康保険協会や健康保険組合に加入している人がもらえるお金を紹介します。なお、国民健康保険に加入している場合はもらえません。制度によっては健康保険の加入期間の条件があるものもあります。制度を利用する時は事前に窓口で確認するようにしましょう。

 

傷病手当(しょうびょう てあて)

産休まで働く予定だったが、切迫早産(せっぱくそうざん)など、妊娠中のトラブルや体調不良により働けなくなったり、長期的な入院が必要になったりした場合に申請できます。申請するためには医師と会社に申請書を記入してもらう必要があります。申請後1~2ヶ月後に支給されます。

 

<例>

毎月20万円の収入があった人が切迫早産の危険性があり会社を3週間休んだ場合

20万円÷30日×2÷3×21日=約9万円が支給される

 

いつ?

会社を4日以上お休みしたとき。ただし、お休みの期間が出産手当の期間が重なる場合は、この制度を利用できない。

どこで?

会社に申請を依頼

いくら?

申請する人の収入により異なる

※計算式:過去12か月の平均月給÷30×2÷3=1日の支給額

 

出産手当金

健康保険に加入している人が、出産のために会社を休み、給与が支払われない期間にもらえるお金です。安心して出産してもらうため、出産前から出産後の一定の期間、お金が支払われます。

 

<出産手当が支払われる期間>
 ・出産日予定日より前の42日間

 ・出産した翌日から56日間

 ・出産が予定日より遅れた場合は、遅れた日数分

 

<例>

毎月20万円の収入があった人が出産により98日仕事を休んだ場合

20万円÷30日×2÷3×98日=約43万円が支給される

 

いつ?

申請手続きの回数を減らすため、産後56日以降に申請する人が多い。

また、出産前と出産後の期間で別々に申請することも可能。ただし、「出産前42日間」や「出産後56日間」など指定された期間が経過した後に申請する必要があるので注意。

どこで?

健康保険の窓口

いくら?

申請する人の収入により異なる

計算式:過去12か月の平均月給÷30×2÷3=1日の支給額

 

育児休業給付金(いくじきゅうぎょう きゅうふきん)

育児休業給付金とは、雇用保険に加入している人が、育児のために会社を休んでいる間にもらえるお金です。出産手当終了後から子どもが1歳になるまで受け取れます。保育所が決まらない場合や、離婚または配偶者と別居になった場合など、一定の条件を満たすことで、1歳6か月または2歳まで延長ができます。

 

※会社をお休みする日から過去2年間の間に、11日以上働いた月が12か月以上あることが受給条件になります。

 

いつ?

育児休業開始から2か月後

どこで?

会社に申請を依頼、またはハローワークで申請

いくら?

申請する人の収入により異なる

 

失業給付金(しつぎょう きゅうふきん)

雇用保険を払っていた人が、仕事を失った時に、利用できる制度です。勤続年数(=その職場で何年働いたか)や退職理由により支払われる時期・金額が異なります。雇用保険に6か月以上加入している人が、妊娠を理由に仕事を辞めた場合、退職から4年以内であれば失業給付金の申請をすることができます。出産・育児が落ち着いて再就職を考えている場合は、この制度を利用すると、失業手当を受けとりながら仕事を探すことが可能です。

 

いつ?

出産が理由で退職した人が、再度就職先を探す時 ※退職から4年以内

どこで?

ハローワークで申請

いくら?

申請する人の収入により異なる

 

こんな制度も注目!

この他にも、日本の住民票登録をしていて、国民健康保険もしくは会社の健康保険に加入している場合は、いざという時に利用できる制度があります。

 

産後ヘルパー

産後ヘルパーは、産後の家事や育児に不安を感じている人をサポートしてくれる頼れる存在です。産後ヘルパーは、一定の研修を受け、資格を取得した人です。家事・育児のサポートのほかに、産後の女性の心のケアや相談相手にもなってくれます。

自治体または民間企業が提供しているサービスです。

サービスの利用料は、市町村によって異なりますが1時間1,000円前後です。出産前の登録申請が必要な場合がありますので、事前に自治体に確認しておきましょう。

 

高額医療費制度

10万円を超えるような高額な治療費を支払った時に利用できる制度です。収入や年齢により治療費の上限額が設定され、1か月の支払が上限を超えた場合は申請すると一部の金額が払い戻しされます。しかし、入院時の食事代やベッド代など、保険が使えない治療費は対象になりません。

 

<例>

毎月20万円の収入がある人は支払の上限額が57000円程度になり、支払いすぎた分は払い戻しされます。

いつ?

高額な治療費を支払った翌月から2年の間に申請

どこで?

国民健康保険または健康保険組合の窓口に申請

いくら?

申請する人の収入により異なる

 

未熟児養育医療制度(みじゅくじ よういく いりょうせいど)

未熟児として生まれて入院治療が必要になった場合、入院費用を一部援助してくれる制度です。未熟児とは、出生体重が2,000g以下や、からだの機能が未熟なまま生まれた乳児のことを言います。

 

児童扶養手当(じどう ふよう てあて)

18歳になるまでの子どもを育てている人が、何らかの理由で生活が苦しくなったときに利用できる子育て支援制度です。法律上の結婚をしていて配偶者が居ることが条件となるため、婚姻届を提出していない事実婚は認められません。

 

<申請条件を満たす例>
離婚して子どもをひとりで育てる事になった
配偶者が死亡して子どもをひとりで育てる事になった

配偶者に障がいがあり生活が苦しい

児童扶養手当について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

・児童扶養手当及び特別児童扶養手当の外国人適用に伴う事務取扱いについて(◆昭和56年11月25日児企第41号) (mhlw.go.jp)

 

いつ?

制度を利用したいとき

どこで?

自治体に申請

いくら?

子どもの数や扶養する家族の数、申請する人の収入により異なる

 

自治体や会社からお祝いのお金がもらえることも!

住んでいる市町村や勤めている会社によっては、出産祝い金や出産祝い品をもらえる制度があります。出産祝い金額は、自治体や会社によってそれぞれ異なります。出産祝い品として、フォトアルバムや米、名前入りの家具を贈ったり、花火を打ち上げる市町村もあります。

 

いつ?

出産後

どこで?

自治体または会社に申請

いくら?

自治体や職場により異なる

 

まとめ

日本の行政や職場からもらえるお金について説明しました。家族の暮らし方や、住んでいる地域によって、受けられる助成制度が異なります。また、助成制度の種類や機関によって、申請する窓口や申請方法も異なります。申請忘れをしないために、自分が対象になる助成制度がある場合は、申請方法や申請期限を事前に確認しておくと安心です。では、新しい命を授かった場合、日本ではどのような手順で病院を受診すればよいのでしょうか?