知らなかったでは済まされない!悪徳商法(あくとくしょうほう)について
- 2023.02.08

【悪徳商法(あくとくしょうほう)】という犯罪を聞いたことはありますか?最近、日本で暮らす技能実習生や留学生が消費者トラブルにあったり、知らないうちに犯罪の手助けをしてしまったりすることが問題になっています。この記事では、在日外国人が巻き込まれやすい悪徳商法や、気をつけるべきフレーズ、困ったときの相談窓口について解説します。 トラブルにあわないために、事前に悪徳商法についての知識をしっかりと身に付けておくことが大切です。
ー目次ー
【悪徳商法】を知ってますか?
悪徳商法の種類
こんな儲け話・フレーズには気をつけろ!
もしトラブルに遭ってしまったら?行政の相談窓口
消費生活センターの「消費者ホットライン」
訪日観光客消費者ホットライン
警察
クーリングオフ制度とは
まとめ
【悪徳商法】を知ってますか?
【悪徳商法(あくとくしょうほう)】とは、違法な手段でサービスや商品を販売するビジネスの方法です。信頼できる人だと油断をさせて商品を購入させたり、Webサイトにアクセスしただけでお金を支払わせることは犯罪です。最近、多くの外国人技能実習生や留学生が、さまざまな悪徳商法の被害にあっています。また、知らずに犯罪の手助けをしてしまいトラブルにあうケースも増えています。
また、契約書に書かれた日本語が理解できないまま契約をしてしまい、トラブルにあう人も多いです。契約書の内容が理解できない場合は、契約をしないようにしましょう。
悪徳商法の種類
悪徳商法と言われるものには、さまざまな種類があります。その中でも、外国人技能実習生や、特定技能生、留学生がトラブルに合いやすい悪徳商法をいくつか紹介します。
マルチ商法
「マルチ商法」(マルチしょうほう)とは、会員が新しい会員を誘って商品を購入させ、その新規会員がまた別の人を誘って商品を購入させるということをくりかえす手段です。新規会員の勧誘に成功した人には、紹介料としてお金が支払われます。取りあつかわれる商品やサービスは、株の出資(しゅっし)、化粧品、会員制クラブへの入会、ゲームのアカウント、ビジネススクールの入会など種類はさまざまです。最近ではインターネットを使った勧誘(=誘うこと)や販売もおこなわれています。マルチ商法だと気が付かずに、友人や知り合いから強引に誘われ、断れずに契約をしてしまうケースもあります。
労働マルチ
仕事の求人募集で集まった人と不当な(=正しくない)労働契約を結び、安い賃金で仕事をさせて利益を得ることを「労働マルチ」といいます。仕事内容は、食品や雑貨の販売が多く、販売した一部を給料として受けとる出来高制(できだかせい)です。出来高制とは、商品が売れた分だけ報酬がもらえる制度です。売れば売るだけ多くの報酬がもらえます。しかし、商品が売れないと報酬がもらえません。時給にすると日本の最低賃金よりも安くなってしまうため、労働マルチは違法行為にあたります。
レンタルオーナー商法
商品を購入してオーナーになったあと、その商品を貸し出すことでレンタル料を受けとることを「レンタルオーナー契約」と言います。その仕組みを悪用したのが「レンタルオーナー商法」です。レンタルオーナー商法では、まず、レンタル事業をする会社が「投資(とうし)の話がある」「毎月レンタル料が振り込まれてお金が稼げる」と声をかけて多額の商品を相手に買わせて商品のオーナーになるようにします。その上で、オーナーに商品を渡すのではなく、会社が預かって、別の人に貸し出したり運用したりします。そして、その利益の中から、オーナーに、配当や利子を払うという商法です。この商法では、レンタル会社が倒産して、レンタル料も商品の購入代すらも返金されないというトラブルがあります。レンタルオーナー被害で対象になった商品として、ウォーターサーバー、パチスロ機(パチンコの機械)、ゲームアプリが入ったカード型USBメモリー、海外の果樹林、ヘリコプターなどが報告されています。「原本保証(がんぽんほしょう)」「高利回り(こうりまわり)」という、「絶対損(そん)しません」という意味の言葉で勧誘されて、つい契約してしまうケースが多いです。
暗号資産(仮想通貨)詐欺
暗号資産(あんごうしさん)(仮想通貨(かそうつうか))とは、インターネット上でやり取りができる財産のような価値があるもののことです。有名なものにビットコインやイーサリアムなどがあります。「暗号資産に投資すれば必ずもうかる」「投資金額は利益ですぐに取り返せる」などとネットで知り合った人から勧められ、高額な税金や保証金の支払いを請求されたり、投資したお金を返金してもらえないという相談が増えています。
ワンクリック請求、サポート詐欺
どちらもインターネットを利用しているときによくある悪徳商法です。「ワンクリック請求」とは、ネット利用者に対して本当は払う必要のない料金を請求する犯罪手段です。無料の動画配信サイトで会員登録などのボタンをクリックさせ、クリックしただけで料金を請求するという詐欺行為です。
「サポート詐欺」とは、インターネットを使用中に突然「ウイルスに感染している」などの偽の警告画面や偽の警告音を出して、相手を不安にさせた上で、有償サポートやセキュリティソフト等の契約をさせることです。アニメやゲーム、アダルトサイトなどから誘導されることが多い犯罪です。サイトに書いてあるテキストをよく読み、すぐに「はい」をクリックしないように気をつけましょう。また、メッセージに心当たりがない場合は、相手に反応を返さないで無視しましょう。
霊感商法
「霊感商法(れいかんしょうほう)」とは、悩みがある人の弱い心を利用した悪質な商法です。「このままだと家族が不幸になる」などと言って相手を不安にさせて、「商品を購入すると幸せになれる」と言って印鑑や置物などの除霊(じょれい)グッズや開運(かいうん)商品を購入させるやり方です。スピリチュアルなイベントに参加した際に、悪い運を取り除くために必要だと言われて高額な費用を請求されるケースもあります。
携帯電話関連の詐欺
日本語が上手に話せないことを悪用した詐欺(さぎ)も増えています。例えば、在留外国人のSNSアカウントに相手の母国語で「携帯電話の契約を手助けします」などと話しかけてきます。その後、携帯の購入を手伝ってあげると言って、お店に一緒に行き、その人にパスポートや在留カード、健康保険証などを預けて契約を手伝ってもらうと、知らないうちにあなたの名前で複数の携帯電話が契約されていたり、こころ当たりのない電話料金を請求されてしまったという例があります。信用のできない人に、簡単に在留カードやパスポートなどの身分証明書を見せたり預けたりすることは絶対にやめましょう。
他人や友人に自分が契約をしている携帯電話を名義変更(=オーナーを変更すること)をしないで譲ったり、譲ってもらったりする行為も犯罪です。また、帰国するなどの理由で必要のなくなった携帯電話を売る時にも注意が必要です。売った携帯電話が、詐欺などの犯罪に利用されるケースが増えています。
デート商法・マッチングアプリ
「デート商法」とは、恋愛感情を利用した悪徳商法です。婚活サイトやマッチングアプリ、SNSなどネット上での出会いを利用した犯罪です。仲良くなった相手に宝石などの高価な商品を販売したり、投資(とうし)やマンションの購入をさせます。例えば、パーティーに誘われて行ってみたら、高級な商品の販売会場でしつこく商品を勧められ、買わされてしまったという例があります。
在日外国人が巻き込まれたトラブルの例
外国人技能実習生や留学生が、何も知らずにアルバイト感覚で事件に巻き込まれ、犯罪組織による詐欺の手伝いとして利用されるトラブルが増えています。例えば、以下のようなアルバイトには注意が必要です。友人や先輩から「現金を引き出すだけ」「いいバイトがあるよ」などと誘われ、犯罪だとは知らずに手助けをしてしまいトラブルにあうケースが多いです。知っている人からの誘いでも、仕事の内容をきちんと確認しましょう。
- 商品の受け取り役
ネットショッピングで他人のIDを使って商品を受け取り、指定された場所に転送するアルバイト。 - 現金の引き出し役
犯罪組織から渡された他人のキャッシュカードを使って、ATMで現金を引き出すアルバイト。 - 銀行口座を譲り渡す
自分の名義で作った銀行口座を、犯罪組織に譲り渡す行為をするアルバイト。
こんな儲け話・フレーズには気をつけろ!
トラブルに巻き込まれないために、「甘い誘惑」や「楽して稼げる話」には絶対応じないでください。悪徳商法でよく使われる、誘いフレーズを紹介します。
SNS・マッチングアプリで誘われるケース
「スマホさえあれば簡単に稼げる」
「初心者でもOK!限定〇名」
「1日で〇万円稼げる」
「実質無料(じっしつ むりょう)/初回無料」
友達や会社の同僚との会話で誘われるケース
「短時間で必ずもうかるよ」
「いいバイトがあるんだけど・・・」
「商品を受け取って、別の場所に送るだけで簡単だよ」
「口座から現金を引き出すだけ」
「将来値上がりするよ」
「高額配当(こうがく はいとう)」・・・高額なお金が配られることです。
「元本保証(がんぽん ほしょう)」・・・資産運用などの目的で預けたお金が、運用期間中に減らず、預けたお金(=元本)がすべて戻ってくることを保証することです。
もしトラブルに遭ってしまったら?行政の相談窓口
悪徳商法にだまされてしまった場合や悪徳業者とトラブルになってしまった場合、どうしたらよいのでしょうか。困ったときは一人で悩まずに、行政や民間に電話で相談してみましょう。相談は無料ですが、電話の通話料が必要です。
消費生活センターの「消費者ホットライン」
消費生活センターが運営する「消費者ホットライン」では、商品やサービスの売買に関わるトラブルの相談を受け付けています。相談したい場合は、まずは「188」に電話をかけましょう。近くの相談窓口に繋いでもらえます。
消費者センター相談窓口「消費者ホットライン」
電話番号:188
受付時間:午前10時~午後4時(平日、土日祝日)
※自治体により異なります ※年末年始はお休みです
電話のかけ方:188に電話をかけると、音声ガイドが流れます。1を選択した後に郵便番号がを入力すると、住んでいる地域の相談窓口に電話を繋いでくれます。氏名、住所、電話番号、性別、年齢、職業を聞かれるので、答えられるようにしておきましょう。
公式サイト:https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/damage/
日本を訪れている観光客が、消費者トラブルにあった場合に相談ができる窓口です。言語を選択すると通訳サポートを受けられます。残念ながら、日本に住んでいる外国人居住者は利用できません。居住者が日本語以外で相談をしたい場合は自治体の窓口に相談に行きましょう。
訪日観光客消費者ホットライン
電話番号:03-5449-0906
対応言語:英語・中国語・韓国語・タイ語・ベトナム語・フランス語・日本語
受付時間:午前10時~午後4時(月~金)
公式サイト:https://www.cht.kokusen.go.jp/ja/
警察
悪徳商法でのトラブルで相談したいときは、警察相談専用電話「#9110」番に相談してください。電話をかけた地域を担当する警察の相談窓口につながります。住んでいる地域を担当している警察署(生活安全課)に直接相談もできます。言葉に自信がない方のために、全国共通の外国人専用相談ホットライン(03-3503-8484)もあります。
警視庁 外国人専用相談窓口
電話番号:03-3503-8484
受付時間:午前8時30分から午後5時15分まで(月~金)
クーリングオフ制度とは
「クーリングオフ制度」とは、マルチ商法や訪問販売など特定の取引で、商品やサービスを購入した後に購入をやめたり、契約を解除できる制度です。クーリングオフ制度が適用される期間は8~20日間で、訪問販売や取引きのタイプによって異なります。クーリングオフができる取引かどうかは、消費者センター相談窓口「消費者ホットライン(188)」に電話で相談してみましょう。
消費者センター相談窓口「消費者ホットライン」
電話番号:188
受付時間:午前10時~午後4時(平日、土日祝日)
※自治体により異なります ※年末年始はお休みです
電話のかけ方:188に電話をかけると、音声ガイドが流れます。1を選択した後に郵便番号がを入力すると、住んでいる地域の相談窓口に電話を繋いでくれます。氏名、住所、電話番号、性別、年齢、職業を聞かれるので、答えられるようにしておきましょう。
公式サイト:https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/damage/
まとめ
日本で暮らす外国人技能実習生や留学生がトラブルに合いやすい、【悪徳商法】についてご紹介しました。悪徳商法の種類は、紹介したもの以外にもまだまだたくさんあります。被害やトラブルに巻き込まれないために、「契約内容がよくわからなかったり、不安がある場合は契約しない」「SNSの情報やよく知らない人を簡単に信じない」「友人からの甘い言葉に惑わされない」ように気をつけましょう。トラブルに合ってしまった場合は一人で悩まず、行政や警察の窓口に相談しましょう。