外国人が日本で出産した場合の手続きは?出生届やビザ、出産一時金について
- 2021.03.03

外国人が日本で出産した場合は、出生届に加えてビザの申請など、大切な手続きを期限内に済ませる必要があります。出産後に慌てて手続きに入ることのないよう、早めに必要書類と提出期限などを把握し準備をしておくと安心です。今回は、外国人が日本で出産した場合に必要な3つの手続きについて、それぞれの提出時期や期限、必要書類、提出方法まで徹底解説します。
出生届の提出
外国人が日本で出産した場合は、日本人と同様に出生届を提出する必要があります。子どもが生まれた後にする最初の手続きになるため、しっかり準備しておきましょう。ここでは、出生届の提出期限と方法、必要書類などを一挙ご紹介します。
提出時期
出生届は、子どもが生まれた日から14日以内に、住民票を取る市区町村の役所で提出します。出産を終えて慌ただしい中ではありますが、提出期限を過ぎることのないよう気をつけましょう。
提出方法
出生届は、父か母が原則届けるルールとなっています。代理人に依頼することも可能ですが、届出人は父か母の必要があるため注意しましょう。
出生届の提出は、基本的に役所の窓口で年中無休24時間対応してくれます。ただし、時間外の受付では、夜間窓口で受け取ってもらうだけで、実際に手続きされるのは次の開庁日となるため注意が必要です。また、出生届の提出と同時に、出産一時金など他の手続きも行えるため、利便性を考えるとなるべく開庁時間に行くほうが良いでしょう。
必要な書類
出生届を提出する際に必要な書類は、以下の4点です。
- 記入済みの出生届および出生証明書:出生届は病院で出産した際に、出生証明書と一緒に受け取ります。
- 母子手帳
- 届出人の身分証明書(在留カードなど):届出人となる父か母の本人確認に必要です。
- 父母のパスポート
- 届出人の印鑑:記載事項に訂正箇所があった場合に使用します。
両親が国民健康保険に加入している場合は、子どもの保険加入手続きも同時にできるため、両親どちらかの保険証も持参すると良いでしょう。
受け取る書類
出生届を提出すると、出生届受理証明書を受け取ります。また、子どもを含む世帯全員の情報が記載された住民票も取得しましょう。出生届受理証明書と住民票は、子どもの在留資格の申請時に提出が必要なため必ず受領し、大切に保管しておきましょう。
ビザ(在留資格)の申請
外国人が日本で出産し、出生届の提出が終わったら、次はビザ(在留資格)の申請をしましょう。出生届と同様に、申請期限が設けられているため、期限を過ぎることのないよう早めに準備し提出すると安心です。
日本に滞在する場合はビザが必要
外国人が日本で出産したとしても、両親が外国人の場合、子どもは日本国籍を取得できません。日本に住み続けるためには、両親と同様に、在留資格の申請が必要です。たとえ子どもでも、在留資格がないと日本に滞在ができなくなってしまうため、注意しましょう。
申請期限
子どもの在留資格の申請は、生まれてから30日以内に手続きしなければなりません。30日を過ぎるとオーバーステイと見なされ、その後の在留資格の手続きは入国管理局の本局にて行われます。出生届とともに、出産前からしっかり準備しておくと安心です。
申請先
子どもの在留資格の申請は、現在住んでいる市区町村を管轄する入国管理局で行います。手数料は無料です。受付時間は、基本的に平日の9時〜12時、13時〜16時となります。
必要な書類
子どもの在留資格の申請に必要な書類は、8点です。
- 在留資格取得許可申請書:16歳未満のため写真は不要
- 出生届受理証明書または出生証明書
- 子どもを含む世帯全員の情報が記載された住民票:両親の在留資格を含む全ての情報が記載されたもの
- 質問書
- 扶養者のパスポートと在留カードのコピー
- 扶養者の納税証明書、住民税課税証明書
- 扶養者の在職証明書
- 子どものパスポート原本:在留資格の申請前に取得していた場合のみ
在留資格取得許可申請書の署名欄には、申請手続きを行う父か母本人が署名しましょう。また、両親のどちらかが永住者の場合は、子どもも永住権を取得できます。その場合は、在留資格取得許可申請書ではなく、永住許可申請書を準備し提出しましょう。
日本人と外国人の両親の場合
日本人と外国人の夫婦の間に生まれた子どもは、日本国籍を取得します。ただし、場合によっては外国の国籍も取得し二重国籍になることがありますが、その場合も在留資格の申請は必要ありません。のちに日本国籍を喪失するとなった際に、在留資格の申請が必要になります。
出産育児一時金
日本で出産した後に行う大切な手続きの1つに、出産育児一時金があります。ここでは、出産育児一時金の概要や対象条件、申請にあたっての必要書類と手続きの流れを紹介します。
育児を支援する一時金が貰える
出産育児一時金とは、日本で健康保険に加入し保険料の支払いをしている場合、育児に対する補助金として支給されるものです。支給額は自治体によって異なりますが、基本的に子ども1人につき35万円となっています。
対象条件
出産育児一時金の受給対象となるためには、母が勤務先の健康保険か国民健康保険に加入している、または夫がいずれかの健康保険に加入しており、母が扶養家族となっている必要があります。
国民健康保険に加入しており出産育児一時金を受け取りたい場合は、加入者の在留期間が1年以上、または今後1年以上滞在することが市区町村に許可されている場合に限ります。
必要な書類
出産育児一時金の受給手続きに必要な書類は5点です。
- 出産育児一時金の交付申請書
- 国民健康保険証(国民保険に加入している場合)
- 母子手帳
- 印鑑
- 振込先の銀行口座情報
手続きの流れ
出産育児一時金の手続きの流れは、国民健康保険に加入している場合と、会社の健康保険に加入している場合で異なります。
国民健康保険の場合は、役所にて出産育児一時金の交付申請書を出産前にもらっておきます。子どもが生まれたら、出産した病院の医師か助産師に申請書の必要事項を記入してもらいましょう。出産育児一時金の交付申請書を出生届と一緒に役所で提出し、手続きは完了です。
会社の健康保険の場合は、出産育児一時金の交付申請書を勤務先の総務などからもらいます。その後の役所での手続きは、国民健康保険の場合と同様です。役所への提出が完了したら、申請書を勤務先の総務などに提出しましょう。
まとめ
外国人が日本で出産した場合の手続きについて、出生届と在留資格、出産育児一時金に関する手続きを紹介しました。特に出生届と在留資格は、提出・申請期限が設けられており、出産後は比較的タイトなスケジュールとなるため、出産前に準備を進めておくと安心です。出産育児一時金も、育児をサポートする大切な補助金なので、忘れずに手続きをして給付を受けましょう。